
リターンリンクは、逆の経路で各ビームのLバノド又信信行を1F周波数に変換し、1FプロセッサーでIF周波数によりKu及びKaの各ビーム用に分離した後、Ku及びKaにupconvertして専用SSPAで増幅する。Ku及びKaバンド通信系の総合EIRPは27.0dBW以上の能力を有している。
2)航法機能
MTSATの航法機能は、GPSを補強する機能であり、GPSの測位信号と同じ信号を静止衛星(MTSAT)から放送するものである。MTSATを利用したGPS補強システムは、米国(FAA)のWAAS、欧州(EU,ESA、ユーロコントロール)のEGNOSと互換性のあるシステムで、MSAS(MTSAT Satellite−based Augmentation System)と呼んでいる。
MSASの機能は、GPSを航空航法に利用するためにはGPSだけでは充分な精度とアベイラビリティーが得られないため、GPSを補強する次の機能を有している。
具体的には、図3.2.1−8のとおり。
・GPSの測距信号と同じ測距信号を地上で作成し、MTSATからGPSのL1周波数で放送する測位機能
・GPS衛星の運用状況をモニターし、MTSATからGPSのインチグリティー情報を放送するインテグリティーチャネル
・地上の固定点でGPS測位した測位情報をもとに、測位誤差補正信号をMTSATから放送するデファレンシャル機能
の3つの機能を有している。
(6)航空機局の概要
MTSATを利用する航空機は、衛星通信装置を搭載する必要がある。機上装置の構成は図3.2.1−9に示すとおりで、機上のアンテナは利得12dBiの高利得アンテナと0dBiの低利得アンテナがある。低利得アンテナはデータ通信にしか利用できないが、高利得アンテナは音声

図3.2.1−8 MSASのシステム構成

図3.2.1−9 衛星通信用の機上装置の概要
前ページ 目次へ 次ページ
|

|